障子紙の種類から張替え方法まで!障子に関する基礎知識
2022年01月14日更新
「障子紙を張替えるタイミングがわからない」「自分で張替える方法を知りたい」という人はいませんか?障子が破れていたり汚れていたりすると、せっかくの和室の和やかな雰囲気が台無しになってしまいます。今回は、障子に関する知識や張替え方法について紹介します。この記事を読んで、常に障子をきれいな状態に保てるようになりましょう。
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- 目次
1.どんなものがある?障子紙の種類
障子紙には、大きくわけて
・和紙
・プラスチック紙
の2種類あり、さらに和紙は
・手すき和紙
・機械すき和紙
に分けられます。
一般的に、和紙は暖か味があり和の雰囲気に馴染みやすく、プラスチック紙は丈夫なものが多いといわれています。
では、3つの障子紙について紹介します。
手すき和紙
手すき和紙は、クワ科の植物である楮(こうぞ)の含有量で紙質が変わり、一般的には40%以上と、20~40%未満の二つに分けられます。楮が、40%以上含まれている和紙は昔ながらの製法で作られ、職人が1枚1枚丁寧に作っているため、値段が和紙の中でも高いです。
一方、楮の含有量が20以上~40%未満の和紙は、楮にパルプなどの植物繊維が加えられており、若干質が落ちます。
そのため、障子紙の質にこだわりたいという人は、楮が40%以上含まれている手すき和紙を、値段を抑えつつ良い和紙を使いたいなら、20~40%未満のものを買い求めるといいでしょう。
機械すき和紙
機械すき和紙は、紙に含まれる成分の違いで3つに分類されます。
機械すき楮和紙 |
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・素人目では、手すきなのか機械すきなのか判別できないほどの質 ・楮にはマニラ麻やパルプなどの植物繊維が加えられている ・40%以上の手すき楮和紙に比べると質は劣る |
レーヨン障子紙 |
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・植物繊維のパルプに化学繊維のレーヨンが40%以上加えられている ・光沢と強度があるという特徴を持っている ・実用的な和紙として障子紙に使用されることが多い |
パルプ障子紙 |
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・障子紙の中でも強度が弱く破れやすい ・植物繊維のパルプが80%以上配合されている ・紫外線に弱く劣化が他の障子紙よりも早い ・定期的に張替える必要がある |
プラスチック紙
プラスチック紙は、和紙を薄い塩化ビニール製のシートで挟むことによって作られています。そのため、手すきや機械すき和紙と比べると丈夫で破れにくいのですが、和紙の特徴的な見た目は損なっていないため、充分和のテイストを演出することができます。
障子紙は、一般的に障子用糊を使って貼りますが、プラスチック紙はアイロン貼りタイプや両面テープタイプがあり、素人にもわかりやすい方法で貼ることができるので、非常に張替えがシンプルです。
2.障子紙を張替えるタイミングはいつがいい?
家によって、日当たりや使用状況が異なるため明確な障子紙の張替え時期はありませんが、一般的に3つのタイミングで行われることが多いです。
これから紹介する、張替えタイミングはあくまで参考に、実際の障子の様子を見ながら判断しましょう。
梅雨の時期
障子紙の張替えは、1年の中でも梅雨の時期に行うといいです。なぜなら、湿気によって障子紙が伸びるため紙が貼りやすくなり、位置や張り具合の微調整の難易度が下がるからです。さらに、乾いた後に紙がピンと張るため仕上がりがよくなります。
逆に、避けた方がいい時期は乾燥している夏や冬です。この時期は、紙が破れやすくなっているので、障子枠にきれいに貼ろうと障子紙を無理に引っ張り、破いてしまうこともあります。それゆえ、張替えに慣れていない人には難易度が非常に高くなります。
もし、梅雨の時期が厳しいのであれば、部屋の湿度が高くなりやすい雨の日に張替えを行いましょう。
張替えは5年周期
一般的に、障子紙の張替えは5年ごとに行われることが多いです。ただ、日当たりがよく使用頻度が多い場合は、汚れがついたり劣化しているので、張替え時期は早まります。
黄色や茶色の染みが目立ち始めていたり、色褪せやたるみ、カビが生えている場合は、前回の張替えから5年以内でも紙を交換しなければなりません。
特に、パルプ障子紙など紫外線に弱い紙の場合は劣化の進行度が早いので、何の障子紙を使用しているのか把握し、紙の状態で張替えのタイミングを図りましょう。
来客の予定がある
来客の予定がある際に、障子紙の張替えを行うことも多いです。障子紙の状態は、部屋の雰囲気に非常に影響を及ぼすため、破れていたり少しでも劣化が進んでいると、来客に与える印象が悪くなるためです。
梅雨の時期や5年周期では、明確な張替えのタイミングはわかりませんが、大切な人を家に招く日は多くの場合決まっているので、張替えのタイミングを来客に合わせることが一番わかりやすいかもしれません。
いつ、障子紙を張替えるタイミングがかわからない人や、障子紙が破れていたり汚れていても特に気にならないという人は、来客時に合わせて張替えを行うといいでしょう。
3.準備しておこう!障子の張替えに必要なもの
自分で障子を張替えする時、何を用意すればいいのでしょうか。ここでは、準備しなければならないものを紹介します。
障子紙の種類に関係なく必ず用意しなければならない物 |
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新しい障子紙、障子用糊、霧吹き(古い紙をはがすときに使う)、マスキングテープ(新しい紙を仮留めするときに利用)、ぞうきん、カッターナイフ、定規 |
障子紙が和紙・プラスチック障子紙の場合の場合 |
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・障子紙剥がし剤(霧吹きで代用も可)、障子のり、ヘラ、刷毛・プラスチック障子紙の場合はドライヤーを用意する必要がある ・はがし用へら(障子紙はがし剤や霧吹きを使った後にスムーズに古い紙をはがすことができる) ・スポンジ(残った紙をきれいにぬぐうときに使用) を準備しておくと張替えに便利 |
障子の張替え方法
1.和紙の場合
古い紙をはがすために霧吹きや刷毛などで障子の枠や桟を中心にまんべんなく濡らす |
張替えを部屋で行う場合は濡れる可能性が高いので、レジャーシートなどを床に敷いておくといいでしょう
↓
5~10分放置し、端からへらを用いてゆっくりはがす |
はがし残りがある場合はスポンジで軽くこすって取り除きましょう
↓
濡れたぞうきんで、残った糊を拭き取り少し置いて乾かす |
これで、新しい紙を貼る準備が完了です
枠や桟が乾いたら新しい紙を貼っていきます
桟にマスキングテープを貼り新しい紙を仮留めする |
このとき、左右と中央の3箇所仮留めすることがポイント
↓
枠に専用の糊を縦方向につけていく ↓ 縦方向に糊を塗り終えたら横方向と桟の部分にも糊をつける |
↓
障子紙をロール状態のまま格子に乗せしわができないように丁寧に転がしていく |
↓
全体にかぶさったら、格子に合わせてカッターナイフでカットしていく ↓ ・先ず大まかにカットして少し時間を空ける ・張替えた後にたるみが出来た時は霧吹きで水をかけると解決 ・水をかけると紙がピンと伸びるので、霧吹きを使って障子紙の張り具合を調節する (糊が乾く前に行ってしまうと、障子紙がはがれてしまう可能性があるので、張り具合を調節する場合は糊が乾いてからにする) |
↓
きれいに貼り終えたら余分な部分をカットして完成 |
2. アイロン貼りのプラスチック障子紙の場合
ドライヤーを準備 |
アイロンよりも使いやすさや安全性を考えるとドライヤーの方がいい
↓
プラスチック障子紙をはがすために、枠や桟を中心にドライヤーをかけて糊を溶かす |
↓
糊が溶けたことを確認して紙が熱いうちにへらなどを使いゆっくりはがし乾燥 |
枠に糊や紙が残らないように無理にはがさないことがポイント
↓
新しい紙を裏表に注意して仮留め ↓ ・プラスチック障子紙のザラザラしている面を枠側にして紙を合わせる・一点の角をアイロンをかけて留め、反対の角をマスキングテープで仮留めする・最初のアイロンで障子紙がずれそうな場合は、セロハンテープで固定すると貼りやすい・角二点を仮留めしたらゆっくりと転がし、残りの二角をマスキングテープで仮留め |
↓
アイロンをかけて貼り付けていく ↓ ・障子紙によってアイロンの設定温度が異なるため、製品ラベルに記載された設定温度に調節 ・コードレスアイロンは、時間が経つにつれ温度が下がるため、小まめに温度を調節する ↓ アイロンをかけるときはしわやたるみができないように、必ず中心から外側にゆっくり優しく押さえるようにかける ・外側にいくにつれて仮留め周辺がアイロンをかけ辛くなる場合がある ・そのときはマスキングテープをはずし接着するようにする |
↓
余分な紙を定規やカッターナイフで切り落として張替え完了 |
もし違うところに貼りついてしまった場合は、再度アイロンをかけて糊を溶かせば貼り直すことができます
3. 両面テープのプラスチック障子紙の場合
両面テープのプラスチック障子紙の場合は、アイロン貼りタイプと比べて難易度が少し上がります。
枠部分にドライヤーをかけて古い紙を少しはがす ↓ 少しはがしたら糊の部分にドライヤーをあてながらゆっくり丁寧にはがしていく ↓ ・長時間あてると非常に熱くなるので、少しずつ時間をかけて行うといい ・障子紙のみがはがれて両面テープが残ってしまった場合は、再び古い紙を貼りつけて同じ要領ではがしていく ・何度繰り返しても両面テープを取り除けない場合は、もう片方の端からドライヤーをあててはがしてみる |
↓
新しい紙を枠にかぶせ貼る位置を確認し、障子紙を枠の一点に両面テープで固定 |
障子紙を広げる ↓両面テープで固定した角とは逆の角とその中央を両面テープで貼り付ける ↓ 障子紙を巻き戻す ↓ 縦方向の全ての桟に両面テープを貼り指でしっかり押さえた後、裏紙をはがして粘着面を露出させる ↓ 今度は横方向の全ての桟に両面テープを貼り指でしっかり押さえる |
↓
巻き戻した状態の障子紙を再び広げ貼りつけていく ↓ 横方向の両面テープの裏紙を1枚ずつはがして障子紙をゆっくり転がし、たるみができないようにピンと張りながら張っていくことがポイント |
両面テープタイプは、全て貼り終えた後にたるみに気づいても霧吹きなどで改善することはできず、修正が難しいため途中でたるみに気づいたら丁寧に障子紙をはがして、その都度修正するようにしてください
↓
全て貼り終えたら桟全体を指でしっかり押さえ、定規をあてて余分な部分をカット |
枠に段差がある場合は四隅の角に切り込みを入れて、へらなどで隙間ができないように密着させるときれいな仕上がりになります
4.自分で張替える場合と業者に依頼する場合の違い
ここまで、張替え方法について紹介してきましたが、障子紙を自分で張替える方がいいのか業者に依頼する方がいいのか迷っている人もいるでしょう。
ここでは、自分で張替えする場合と業者に依頼する場合のメリットとデメリットを紹介します。
自分で張替える場合
障子を自分で張替えるメリット
最大のメリットは、張替えに必要な材料や道具代だけで済むので、費用を抑えることができます。
一般的に、障子4枚分で最も安価で売られているパルプが80%以上配合されている普通紙なら500円前後、普通紙よりも強度が強い強力紙でも2000円前後で買えます。また、プラスチック障子紙になれば3000円から5000円で売られています。道具代も和紙なら専用糊くらいしかかからず、プラスチック製のものであれば家にある道具で張替えが可能です。
よほど、高級なものにこだわらない限りは紙代を抑えることができるため、とにかくお金をかけたくないという人は自分で張替えるのに向いています。
ただ、いくら費用を抑えることができるといっても、慣れていない人がやると失敗する可能性はあります。特に、両面テープタイプのプラスチック障子紙は初心者にとって難易度が高いので、張替えに時間がかかります。貼るだけなので簡単そうに見えますが、実は繊細な作業で手間や時間がとてもかかります。上手く貼ろうとすればするほど、細かい部分が気になり作業が進まないということも。
気をつけていても、しわやたるみができ満足のいく仕上がりにならないことも考えられます。張替えの出来で部屋の雰囲気も変わるため、特に来客に合わせて障子紙の張替えを行う場合は、出来にこだわる人もいるでしょう。その場合、自分で張替えをするとなると、時間と体力に余裕を持たせて取り組む必要があります。
業者に依頼する場合
業者に依頼する場合のメリット
とにかく、クオリティが高いことです。部屋の雰囲気など、依頼者の要望に沿った障子紙も提案してくれるため、障子の知識がない人でも安心してこだわることができます。
また、とにかく完成までにかかる時間が短いため、急ぎで障子の張替えが必要になった場合にとても便利です。急に来客の予定が入り、午前中のうちに汚れた障子や破れた障子を直さなければならなくなったときなど、電話1本でスピーディーに仕上げてくれます。
素人が行った出来とは、比べ物にならないほどハイクオリティ且つスピーディーですので、特に部屋の雰囲気を大事にしたい人や急な修繕が必要になった人は、業者に依頼するといいでしょう。
しかし、その分自分で張替えるときよりも費用がかかります。
一般的に、業者に依頼すると普通紙は1500円から3000円程、強力紙の場合は強度によりますが2000円から5000円程、プラスチック障子紙は5000円から8000円程かかります。
ちなみに、この費用は障子1枚分の値段です。2枚分の障子を頼めば料金も2倍に、3枚分の障子を頼めば3倍になるため、自分で張替える場合と比較してかなり費用がかかることがわかります。したがって、障子の張替えを業者に依頼する場合は、障子紙の種類や枚数など、予算に見合った内容にするといいでしょう。
5.これで長持ち!張替えた障子をきれいに保つためのポイント
ここでは、張替えた障子を少しでも長持ちさせるための方法を紹介します。長持ちさせるには、常に障子の状態を確認することがポイントです。
定期的にホコリを取り除く
障子の桟部分は狭いですが、ホコリが溜まりやすいです。ホコリは障子の汚れの原因にもなるので、ハンディワイパーやハタキなどを使って、ホコリが溜まるまで待つのではなく定期的にホコリを落とすようにしましょう。
力を入れすぎてしまうと、障子を破いてしまう可能性が高いので注意が必要です。また、隅の方に溜まったホコリは掃除道具を使っても取り除けない場合があります。そのときは、綿棒や先端が細い棒をティッシュで包んでこすると、細かいホコリを取り除きやすいです。
破れたら部分的に張替える
ちょっとした不注意で、障子を破いてしまったときや経年劣化で破れてしまった場合は、すぐに全ての障子を張替えずに部分的に応急処置をして、やり過ごすのも一つです。
まず、代わりとなる紙を用意してください。破れた場所を、あえてカッターナイフで用意した紙のサイズより、やや小さめに切り取ります。そして、出てきた桟に糊を付けて新しい紙を、通常の障子紙の代わりに貼り付けるだけで修繕完了です。
ただの紙を用意すると、紙質の違いで違和感を抱いてしまうこともありますが、布や模様の付いた紙を張ることで、ちょっとしたアクセントになりおしゃれを演出することができます。
引き手回りは常に清潔に
障子を開け閉めする引き手回りは、手垢や汚れが付着しやすいです。特に、指先の皮脂はしつこい汚れになりやすいので、定期的にぞうきんなどで拭いて清潔な状態にしておきましょう。
何度も同じところに触れるため、汚れを放置したままにするのは障子の劣化を早めることになります。
汚れや黄ばみを取り除く
障子紙の中には、黄ばんでしまう性質のものがあります。草木を原料にしている和紙には、リグニンという成分が含まれており、この成分が酸素や日に長時間触れることで黄ばんでしまうのです。
それゆえ、もし使っている障子紙にリグニンが多く含まれているのであれば、黄ばみ対策が必要です。
障子が黄ばんだ際に、きれいな状態に戻す方法を紹介します。
用意するもの | コップ一杯の水、キッチン用漂白剤、選択糊、霧吹き |
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キッチン用漂白剤を小さじ2杯、洗濯糊を小さじ1杯分水に混ぜます。その液体を、霧吹きで黄ばんだ部分に吹きかけるだけで終了です。
ただこのとき注意しなければならないことは、変色や劣化の原因になるので、障子の桟の部分に作った液体がかからないようにすることです。また同じ部分に何度も吹きかけてしまうと破れてしまうこともあるため、処置は1箇所につき1回にしておきましょう。
長時間開けっ放しにしない
障子は、なるべく小まめに閉じることがきれいな状態を保つためには重要です。
通常、2枚の障子が重なった状態になっています。障子を開けた状態にすると、このとき2枚の障子の間には、湿気が溜まりやすい状態になっています。その結果、カビが発生しやすい環境になるのです。必要なとき以外は、必ず障子が重ならないように閉めた状態にしましょう。
6.障子を張替えて美しい和室に!
障子は、張替えるタイミングが難しく自分で張替えるとなると、手間も時間もかかってしまいます。ただ、業者に依頼するとコストが非常にかかってしまいます。
時間も体力も余裕がある場合は張替えを楽しむ気持ちで取り組み、急な張替えが必要な場合は応急処置として、業者に依頼するなど、状況に合わせて使い分けましょう。
また、きれいな障子を維持するためには日ごろから小まめに、清掃をする習慣をつけることが重要です。
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