マンションでもエコキュートは使えるの?
2022年02月01日更新
省エネ性能に優れた給湯器としてエコキュートの名前をよく耳にするようになりました。導入すれば電気料金が節約できるといわれていますが、そもそも自分のマンションにも設置できるのかが気になります。また、騒音などの問題は発生しないのかも心配です。ここでは、マンションにかかわるエコキュートのあれこれについてご紹介します。
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1.エコキュートの節約効果
エコキュートは、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」といって、その名の通り、ヒートポンプという技術を使ってお湯をわかします。ヒートポンプとは、空気中から熱エネルギーを集めて大きな熱エネルギーにする技術をいい、エコキュートだけでなく、エアコンや冷蔵庫などの身近なものにも使われています。
ガス給湯器はガスの力を、電気給湯器は電気の力を使ってお湯をわかします。しかし、エコキュートはヒートポンプによって集めた空気中の熱エネルギーと電気を使ってお湯をわかすのです。関西電力によると、使う電力の3倍以上の熱エネルギーを生み出すことができ、電気を使わないガス給湯器と比べても一次エネルギーの消費量は約34.9%も減少するといいます。ガス給湯器や電気給湯器と比べて、エコキュートは効率よくお湯をわかすことができるのです。
エコキュートを導入することで、お湯をわかすためのガス代がかからなくなるだけでなく、電気給湯器と比べても電気料金はぐっと安くなります。お湯のわかし方やライフスタイルによって各家庭の電気料金は異なってくるのですが、毎月の電気給湯器の電気料金が約3,000円の家庭の場合、エコキュートにすることで電気料金は約1,000円まで安くなるといわれています。エコキュートの寿命は10年以上といわれていますから、長い目でみると大きく電気料金を節約することができるのです。
2.エコキュートは場所を取る
給湯器の設置に必要なスペースは、その方式によって大きく異なります。
ガス給湯器はガスの力で必要なときだけ必要な量のお湯を瞬間的にわかします。そのため、貯湯タンクが必要なく、壁掛けで設置することができますから、設置スペースをほとんど考えずにすみます。
しかし、電気温水器になると主に深夜電力を利用してお湯をわかしてタンクに貯めておき、それを昼にも使うことになります。そのため貯湯タンクが必要になり、タンク容量に応じた設置スペースが必要です。
さらにエコキュートになると、空気中の熱を集めるためのヒートポンプユニットとお湯をわかして貯めておくための貯湯タンクの両方が必要になってしまいます。エコキュートは、ガス給湯器はもちろん、電気給湯器よりも広い場所を取ってしまうのです。構造上、広い設置スペースを必要とすることはエコキュートのデメリットといえます。
3.エコキュートの騒音問題と対策
エコキュートは電気温水器と同じように主に深夜電力を使ってお湯をわかします。しかし、電気温水器よりも大きな低周波音を発生させてしまうという点はデメリットです。エコキュートのヒートポンプユニットには大気中のエネルギーを集めるためのファン(送風機)がついており、これが回転すると低周波音を発生させます。
さらに、ヒートポンプユニットには大気中から集めた熱エネルギーを圧縮して高温を作り出す圧縮機が内蔵されていて、これも低周波音を発生させてしまいます。このファンと圧縮機の2つがエコキュートによる低周波音の原因なのです。ヒートポンプユニットから発生する低周波音は40dB程度といわれています。音の大きさの目安は市内の深夜、図書館、静かな住宅地の昼程度で、聞こえる会話には支障なしとされている程度です。そのため、決して大きな音が出ているわけではありません。しかし、寝静まった深夜にはこの音が気になってしまうということがあります。
2009年には、隣家がエコキュートを導入したら夜眠れなくなったという群馬県の男性が、エコキュートのメーカーなどを訴えて新聞報道されたこともあります。エコキュートを設置する際には近隣への騒音に配慮する必要があり、マンションの場合には、戸建てよりも隣家との距離が小さいので、特に気をつける必要があるといえます。
もっとも、エコキュートからは深夜だから気になる程度の騒音しか発生していないのです。そのため、「隣家の寝室から距離を取る」「換気ダクトや排気口から音が伝わらないように設置する」「制振材や防音シートをつける」などすることで隣家への騒音を軽減することができます。
事業者団体である社団法人日本冷凍空調工業会が「騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」をwebサイトで公開しているので参考になります。
4.設置スペースをどこにする?
エコキュートには、貯湯タンクとヒートポンプユニットが必要になるので「広い場所を取る」「深夜に低周波音が発生してしまう」という2つのデメリットがあります。そのため、設置スペースはこの2つのデメリットを意識しながら決めることが必要です。
もし、これまでに使っていた給湯器が電気給湯器ならば、貯湯タンクを設置するためのスペースがありますし、配管工事も簡単になるでしょう。そのため、同じ場所がエコキュート設置スペースの第一候補となります。この際には、電気給湯器にはなかったヒートポンプユニットを「どのように設置するのか」を考えながら、ヒートポンプユニットからの低周波音が近隣の迷惑にならないような対策を施すことが大切です。
しかし、これまで使っていた給湯器がガス給湯器の場合には問題が複雑になってしまいます。マンションの1階で専用庭があるならば屋外設置も候補になるのですが、専用庭がない場合にはベランダやバルコニーへ設置しなければならないケースもあるでしょう。しかし、エコキュートは370Lや大きなものでは550Lものお湯を貯めることになり、タンク自体の重さやヒートポンプユニットの重さもかかってきます。そのため、ベランダやバルコニーが500~600kgを超える重量に耐えられなければ設置することはできません。また、近くにエアコンの室外機などがあると共振を起こして大きな騒音を発生してしまう場合もあるため注意が必要です。
さらに、配管工事をどうするのかも問題になってきます。配管を通すために壁に穴を空けたり、床下を上げて配管スペースを作ったりと大掛かりな工事になってしまう場合もあります。ガス給湯器からエコキュートに乗り替える場合には、大きな工事が必要となる場合もあることを覚悟したうえで、工事業者とよく相談して設置スペースを決めることが大切です。
5.管理組合との事前相談を忘れずに
マンションにエコキュートを設置する場合には、騒音問題や設置スペースの問題から戸建てに設置するよりもハードルが高くなりますが、問題はそれだけではありません。エコキュートを設置するには工事が必要です。特に、ガス給湯器から乗り替える場合には、設置工事だけでなく配管工事も必要となりますから、大きな工事が必要になってしまいます。
電気給湯器から乗り替える際にも、使っていた電気給湯器が給湯専用で乗り替える先のエコキュートがフルオートやセミオートの場合には注意が必要です。なぜなら、浴槽にお湯を送るための配管工事が必要になるからです。これらの工事を行う際には、騒音やホコリといった問題が発生しますから近隣に迷惑がかかります。
特に工事は必要なく、ただ運び込んで既存の配管に接続するだけという場合でも、巨大なエコキュートをエレベーターや廊下を使って自分の専有部分まで運び込むのですから、他のマンション住民に影響を与えることになります。そのため、マンションでエコキュートを使う場合には事前に管理組合に届け出ることや、その承認を得ることが必要です。マンションごとに管理規約の内容が異なる場合もありますし、実施する工事に応じて手続が異なる場合もあります。マンションによっては各部屋に設置する給湯器の性能に基準が設けられていることもありますから、その確認も必要です。
エコキュートに限らず、マンションで大きな機材を搬入したり工事をしたりする際には事前に管理組合に相談することが不可欠といえます。また、きちんと管理組合と相談をすることが、後々の近隣トラブルを回避することもつながるでしょう。
6.まとめ
マンションでもエコキュートで省エネライフを
エコキュートを導入することで電気料金を大きく節約することができるものの、マンションに設置する際には設置スペースの確保や隣家への騒音の問題があることがわかりました。しかし、設置や搬入が容易な省スペースの機種も販売されており、事業者団体による騒音対策のマニュアルも存在しています。
マンションリフォームで省エネを考えるならば、エコキュートを選択肢にいれて、工事業者などに相談してみることをおすすめします。
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