床の防音対策でトラブルを未然に防ぐ!集合住宅なら必須!
2022年02月03日更新
ご近所トラブルの中でも多い騒音トラブルは、私たちに身近な問題です。隣人の音が気になる人も自分の音が隣人に迷惑をかけていないか心配な人も、防音対策で安心を手に入れましょう。今回は快適な暮らしに役立つ防音対策について解説していきます。
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- 目次
1.マンションなどの集合住宅では必須
近隣のトラブルで多いのはなんと○○!?
SUUMOジャーナルが行った統計によると、近隣トラブルで最も多いのが騒音に関するものだという結果が出ています。この統計からは45.9%とおよそ半数近くの人が音に関して不満を感じていることが明らかとなっており、男女の差はなく両性とも騒音は住環境の中で最もストレスを感じる部分だと回答しています。
騒音トラブルになる音の種類には、話し声やペットの鳴き声、テレビやチャイムの音、足音などがあります。騒音トラブルは隣家との距離が近いほど発生する確率が上がるため、アパートやマンションなどの集合住宅では、防音対策は必ずやっておくべきことといえるでしょう。
騒音と思う音は人によっては違う
集合住宅では壁1枚を隔てて隣家があるため、どんなに音に気をつけて生活していたとしても、壁の厚さや構造によっては音が漏れ伝わることがあります。防音と聞くと隣家からの音で悩まされないための対策をイメージするかもしれませんが、自分の生活音を隣家に聞こえさせないようにするためにも重要なものです。
生活音は私たちのプライバシーに直結する問題なので、きちんと対策を施すことは必要不可欠です。また、自分は隣家の生活音が聞こえても気にしないので自分の生活音も気にかけないという人もいるでしょう。
しかし、他人の感覚ではそうではないということを認識しておくとトラブルの軽減につながります。
隣には夜働いて昼間は寝ている人がいるかもしれませんし、聴覚の鋭い人が住んでいるかもしれません。場合によっては建物の構造の関係で、ある特定の部屋に音が集中してしまうということもありえます。
最悪裁判沙汰になりかねない問題
騒音トラブルから裁判になったり、最悪の場合は刑事事件に発展したりすることもあるので、音の問題は軽視してはいけません。もしも隣人と裁判になった場合、裁判所は騒音の種類や時間帯のほか、騒音対策を取っていたかも判断材料とします。
対策を取らなかったばかりに裁判に負けて慰謝料などを支払うはめになる前に、自らきちんと防音対策を施しておくことが重要です。
2.具体的にどんな音が防音対策の対象になる?
音には2種類ある!
音には大きく2種類あり、空気伝搬音と固体伝搬音に分かれます。
- 空気伝搬音
空気中を伝わって聞こえてくる音で、飛行機の音や犬の鳴き声、テレビの音や話し声などが該当します。 - 固体伝搬音
振動が壁や天井などを伝わって放射される音
空気中を伝わってくる騒音
トラックが家の前を通ったとき床が揺れることがありますが、これは固体伝搬音に該当します。また、上階から聞こえる足音やエレベーター音、扉や窓の開閉も固体伝搬音の一種です。固体伝搬音の特徴は振動を通じて伝播するため、空気伝搬音よりも早く伝わることです。
例えば、空気は音速340メートル/秒ですが、鉄はそれよりも早く5950メートル/秒となっています。固体伝播音のもうひとつの特徴に、音の発生源がどこだかわからなくなるケースが多いことが挙げられます。
上記のように音が伝わるスピードがかなり速いため、隣から聞こえたと感じる音も実際は下からの音だったということもあるのです。このため、音の発生源を勘違いしたことによる騒音トラブルが発生する可能性はゼロではありません。
固体伝播音は日常生活の中に案外多くあるので、さまざまな意味で注意することが重要です。
ちょっとした防音対策で嫌な音を軽減できる
空気伝搬音も固体伝搬音も、適切な防音対策を施せば軽減させることが可能です。
例えば、空気伝搬音は遮蔽物や吸音材などによって伝わる音を減らせられます。音の発生源との間に壁がひとつ増えるだけでもかなりの音が軽減でき、軽減される度合いは遮音等級D値として表すことができます。
遮音等級D値は大きいほど遮音効果が高いことを意味し、壁がD-30であれば100デシベルの音が70デシベルにまで減少します。固体伝搬音は壁や床、天井などに衝撃を緩和させる素材などを取り付けることで対応できます。
3.遮音性能を表すL値を理解しよう
L値は小さいほうが遮音性能が高い
上階から聞こえる音がどのくらいうるさいのかは、自分だけでは判断しづらいことがあります。なぜなら、音は感覚的な問題であり、同じ音量でも個人によってうるさいと感じたり聞こえづらかったりするからです。
しかし、音を数値化して誰にでもわかりやすくした「L値」というものがあります。遮蔽等級を表すL値は、小さいほうが遮音性能に優れていることを表しています。
固体伝播音には重量床衝撃音(LH)と軽量床衝撃音(LL)の2種類があります。
前者は子供が走り回ったときなどに聞こえる音で、後者はイスを引きずる音や硬いものを床に落としたときなどに聞こえる音です。重量床衝撃音は低音域の鈍い音で、軽量床衝撃音は高音域で硬質の音だとして理解することもできるでしょう。
パナソニック/ウッディアーキA45/階下に伝わる音を低減する防音床材
L値には特級から3級までランクがあり、特級は隣家からの音が気にならないことを示すため、住まいは特級が目指す目標となります。L-40はLHでもLLでも特級であり、上階の物音がほとんど聞こえなかったり聞こえてもわずかだったりするレベルです。
L-50はLHでは1級、LLでは2級に分類され、足音が聞こえたり、ものが落下した音が聞こえたりするものの、気にならない程度となっています。
L-60はLHとLLともに3級で、LLではかなりクリアに上階からの音が聞こえてしまいます。例えば、スリッパでの足音が聞こえるなど上階の人の行動がわかるほどです。
L-65以上は級外で、日常的にうるさく感じてストレスがたまるレベルといえるでしょう。L-80は大変うるさくて我慢できないほどであり、下階にいながらも上階のどこに人がいるのかすらわかってしまうレベルです。
これほどまでに騒音レベルが高くなると日常生活に大きな支障をきたすことが予想されるので、早急に対策を練る必要があります。
4.衝撃音の種類は2種類
一般的に、騒音として判断されるものとして、床衝撃音と呼ばれているものがあります。 床衝撃音は2種類で「軽量床衝撃音」「重量床衝撃音」と呼ばれています。これらの音が、それぞれ階下の部屋に騒音被害を与えてしまうのです。
軽量床衝撃音
軽量床衝撃音は「カチャン・チャリン」などと行った金属を落としたときに響く乾いた硬い音のことです。
また、フローリングなどでイスを引いたときの、少し鈍い音も軽量床衝撃音と呼ばれています。床材によって音の響き方に差があり、階下の方にとっては騒音と判断されることもあります。
重量床衝撃音
重量床衝撃音は「ドスン・バタン」といった重く響く音です。
床の上を走ったり、はねたりするときに響く音で、建物の構造によって響き方が変わってきます。階下には、揺れとともに鈍い音が響き渡るので、多くの方が騒音として捉える音であるといえます。子供がいる家庭は、より騒音対策をしっかりしておいたほうがいいかもしれません。
5.軽量床衝撃音に対する防音対策
不安な床材には防音効果の高い下地を
ものを落としたりイスを引いたりするときに発生する軽量床衝撃音には、床との間にカーペットやマットなど吸音効果がある何か柔らかいものを敷いてあげるだけで、大きな防音効果が期待できます。
しかし、カーペットなら何でも防音効果が高いというわけではないので注意が必要です。
より高い吸音効果があるものを積極的に選ぶには、押さえておきたいポイントがあります。軽量床衝撃音の防音に最も効果が高いもののひとつに、フェルトの下地がついたカーペットがあります。これはLL40〜45程度の特級から1級のL値を誇り、木やコンクリートがむき出しとなっている床に比べると、かなりの防音効果があるといえます。
カーペットのフェルト下地
実際に金属製のスプーンを床に落としてみると、音の響きに大きな違いがあることがわかるでしょう。フェルト下地のないカーペットはLL45〜50とフェルト下地ありのものと比べてやや防音性能に劣るものの、こちらも簡単にできる対策としては有効的です。
床の防音には床自体の素材を変える方法もあります。畳は比較的柔らかい素材のためそれ自体防音効果があり、LL45〜55と2級クラスとなっています。この等級では上階の人の生活行動がある程度わかってしまうものの、フローリングの床と比べるとものを落としたときの音の響きに違いがあります。
フローリングは防音に優れている高性能なものでも、カーペットに比べると防音効果は小さくなってしまいます。そのため、防音効果を必要とするなら必ず緩衝材がついたフローリング素材を選んでください。
畳もフローリングも、下に防音性能がある素材を入れておくことで軽量床衝撃音を軽減することは可能となります。
注意しなければならないのはクッションフロアという素材です。クッションフロアは安価にもかかわらずフローリングのように見えるという見た目重視の素材で、防音効果はほとんどなくLL-65〜70という級外のランクです。
ペラペラとした素材のクッションフロア
クッションフロアはパッと見の印象だけではフローリングだと思ってしまいがちなので、契約する前に不動産屋などにきちんと確認しておくと良いでしょう。分譲マンションなどでどうしても自宅の床をクッションフロアにしたいのなら、軽量床衝撃音対策として裏面に発泡剤がついたものを使用すると騒音がいくらか軽減されます。
6.重量床衝撃音に対する防音対策
小さな子どもがいる場合はカーペットだけだと心もとない
重量床衝撃音を対策する場合、カーペットを敷いたとしてもあまり効果は期待できません。もちろん、分厚いマットレスを敷き詰めた場合はその上を子どもが走り回っても衝撃が階下に伝わることはほとんどありませんが、カーペットだけでは重量床衝撃音に対して大きな効果をもたらすことは少ないことでしょう。
重量床衝撃音は振動が構造体を伝わって響いてくる音なので、構造体が揺れないように固定することで一種の対策となります。そのため、床スラブを厚くあるいは重くするなどの工事をする必要があるでしょう。
L値はスラブ厚とスラブ面積によって変化していきます。例えば、面積が12平方メートルの6.5畳間を例にとると、スラブ厚が12ミリの場合L-55と2級ランクですが、スラブ厚が200ミリとなるとL-45と特級ランクにまで上がり、かなりの防音効果が期待できます。
ただし、同じ200ミリのスラブ厚でも面積が45平方メートルとなるとL-60と3級にまで落ちてしまうので、重量床衝撃音の防音対策にはスラブ厚と面積の関係性を考慮する必要があります。
重量床衝撃音対策
重量床衝撃音対策としては、スラブコンクリートの増し打ちや梁を入れること、湿式浮床構造にすることなどが挙げられます。しかし、これらの方法は基本的に建物を建てるときに施しておくべきものであり、内装工事まで完了した部屋に対しては、規模が大きなリフォーム工事が伴う可能性があります。
すでに仕上げ工事までを終えた部屋の重量床衝撃音を下げたいのなら、仕上げ材を柔軟なものに変えることが簡単で費用があまりかからないリフォーム方法といえます。
一方、上記のようなさまざまな対策を施したとしても、重量床衝撃音が軽減されない可能性はあります。GL工法によって生じる音の伝搬や配管処理の仕方によっては、どうしても音の問題が解決しないケースも存在します。
防音対策を施す前は、何が重量床衝撃音の原因かを突き止めてから行うようにしてください。
7.防音カーペットなどを敷くだけでも有効
賃貸住宅などの場合は、騒音対策をしたくてもやれることは自然と制限されてしまいます。しかし、賃貸住宅だからといって全く防音対策が行えないわけではありません。
防音性能に優れたカーペットやマットは、簡単に導入できるのにもかかわらず高い効果が期待できるコストパフォーマンスの良い方法です。床の上に防音マットを敷き、さらにその上に防音カーペットを敷くと、ダブルで音を効率的に遮断することができるでしょう。
サンゲツ/サンシンフォニー遮音等級LL-35をクリア
メリット
防音カーペットとマットを重ねたときに発生するメリットは、軽量床衝撃音・重量床衝撃音ともに軽減できることです。
ピアノの下や子ども部屋に敷いておくと、階下の住人に音に対するストレスを与えずに済み、また階下から漏れ伝わる音でストレスをためずに済む可能性が上がります。効果をより多く得たいのなら、防音カーペットとマットは部屋の隅まできちんと敷き詰めることです。
カーペットやマットの端は壁にくっつけて床全体を覆うようにすると、より防音効果は高まることでしょう。
デメリット
一方、これらの防音素材を使った方法は、床からの音や衝撃を軽減させることはできるものの、天井や壁からの対策にはならないというデメリットがあります。
自分の努力だけでは天井からの音対策をするのは困難なので、階上の人に協力してもらうことが重要です。また、壁については隣家との壁に棚などの遮蔽物をおいたり表面に凹凸のある吸音材を貼り付けたりしておくと、騒音の減少が期待できます。
8.遮音効果の高い床材ベスト3
分譲マンションのような、集合住宅では床や壁をつたってとどく固体音が騒音トラブルの元となっています。前もって、固体音を防ぐ床材を用意して、騒音対策を行いましょう。 ここでは、固体音を防ぐ遮音効果のある床材のベスト3をご紹介させていただきます。
1. 遮音フローリング
固体音の騒音を防ぐ上で一番効果的なのが、遮音フローリングです。遮音フローリングは裏の生地に遮音マットが敷き詰められており、床の振動を吸収することによって、音の響きを半減する働きがあります。既存のフローリングの上に遮音フローリングを敷き詰めることで、騒音を減らすことができます。特に、軽量床衝撃音を半減する働きがあります。
2. カーペット
遮音フローリングには及びませんが、遮音性能のあるカーペットを敷けば、フローリングのみの場合よりも確実に高い遮音効果を得ることができます。出来るだけ広い範囲にカーペットを敷くことで、その分、高い遮音効果を期待できます。カーペットのほかにも、じゅうたんやコルクなどの柔らかい素材は、固体を防ぐのに役立ちます。
関連ページ:カーペット・タイルカーペット張替え
3. タイルカーペット
タイルカーペットは、タイル状のカーペットをフローリングの上に敷きつめて使います。また、遮音を施したい場所の分だけタイルカーペットを購入して、必要に応じて遮音範囲を広げていくという使い方もできます。 スリッパでパタパタとフローリングの上を歩く音や金属を床に落としたときの音を半減させることができます。
関連ページ:カーペット・タイルカーペット張替え
9.まとめ
近所との騒音トラブルはなるべくなら避けたいので、防音対策は積極的に行いたいものです。特に床は騒音の発生源になることが多いため、床の防音対策はできるだけ速やかに施すよう努力してみてください。
床は家の中でも比較的防音対策をしやすい場所であり、カーペットやマットを敷いたり、あるいは床材を変えたりすることなどでも行えます。暮らしていると生活音が発生し、ときにはその音が隣家へ漏れてしまうものです。
騒音トラブルは「お互い様」のことが多いですが、その言葉に甘えずきちんとした対策を取っていきましょう。
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